現代人間学部 心理学科

親を自殺で喪ったこどもたちを孤立させないために 「若者と自殺~いのちのリレー講座~」より

2017年05月31日

「若者と自殺~いのちのリレー講座~」第3回目(5月25日)は、一般社団法人 リブオン代表の尾角様をゲストスピーカーにお迎えしました。尾角先生は、病気、自殺、災害、事故等で親を亡くした遺児たちのグリーフケアに、また自殺予防のため中学・高校などで「いのちの授業」に携わっておられます。
若者と自殺#3-1

さて、グリーフという言葉は、どこかで耳にされたことがあるかも知れませんね。グリーフは悲嘆と訳されますが、尾角先生はグリーフを、大切な人・ものなどを失うことによって生じるその人なりの自然な反応状態・プロセスと説明されました。お父さんが子どもに一緒にお風呂に入ろうと誘ったのに入らず、その翌日にお父さんが自殺をして、「あのとき一緒に入っていたら・・・」と遺された子どもが自分を責めたり悔んだりすることがあります。大切な人を亡くしたあと、このような悲しみや後悔だけでなく、怒りやほっとする気持ちがわいてくることもあります。尾角先生は、それもすべて自然な反応なんだと、むしろ、自分の反応におかしいと思ってふたをせず、それを感じること・知ることでグリーフが始まると言われました。
このようなグリーフを少しずつ抱えやすくしていくこと、亡くなった人とのつながりを回復するために取り組むことをグリーフワークと言い、若者たちがグリーフワークを出来る場として「つどいば」の活動をご紹介いただきました。親が自殺したことを友人に言うと引かれてしまう、親が自殺した子として特別視されるようになる、そんな恐れから人に語れなかった思いを、同じ体験をした若者どうしで語り合う場です。
若者と自殺#3-2

尾角先生ご自身が大学1年生の時にお母さまを自殺で亡くされ、経済的にも精神的にも追い詰められ数度の中退の危機に直面しながら、学友や周囲の大人に支えられ、今があると仰っていました。「恩送り(pay forward)」、そのときに受けた恩を同じつらさを抱える若者に届け、「決して一人じゃない」と、まなざしを注ぎ続ける、「つどいば」はそんな活動なのだと感じました。
尾角先生と聴講者が一体となり、心が洗われる感動的な90分でした。

報告:河瀬 雅紀  


Posted by 京都ノートルダム女子大学心理学科 at 12:33講義の様子

NHK「Rの法則」に心理学科の学生が登場しました

2017年05月23日

4月5日(水)、伊藤ゼミの心理学科4年次生Mさんが、
NHK「Rの法則」(Eテレ:月~木 18:55~19:25)に登場しました。
Mさんは、随心院(京都市山科区)で毎年行われている「ミス小野小町選考会」でグランプリに選ばれ、一年間「ミス小野小町」として活動されています。

この回の特集は「Rの偉人伝“世界三大美女”」。
クレオパトラや楊貴妃とならぶ小野小町について、Mさんは取材に応じて随心院境内にある小町ゆかりの史跡紹介をしました。

小町の歌についての心理学的考察を、という宿題が出ていたため、それについても準備をされていたそうですが、時間の関係で残念ながらその辺はカット(>_<)

ちなみに準備していたのは百人一首で有名な
「花の色は移りにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに」
の歌。容姿の変化に対する美人ゆえの不安について、説明できればと考えていたそうです。


Rの法則にMさん
 レポーターさんとやりとりしながらの取材風景
 何時間もカメラやスタッフに囲まれ、緊張には慣れた?


Mさんに感想を尋ねると、
「 “今から撮ります”ではなく、レポーターの方とのやりとりの間カメラが回りっぱなしで、その中から編集されるというのにはびっくり。自分では、「ちょっと滑ったかな?」という発言が放送で使われていて、ちょっと気恥ずかしかったです。
長時間の取材で大変でしたが、番組制作の裏側や、スタッフの方のご苦労を間近で見たりと、とても勉強になり、いい経験をさせていただけました。」

とのこと。

あと半年、ミス小野小町としての活動も続くそうです。就活・卒論と大忙しの4年次だけど、なんとか走り切れるよう、がんばってくださいね!

報告:心理学科 広報係


  


Posted by 京都ノートルダム女子大学心理学科 at 16:08学生の様子

京都府の自殺対策は先進的!「若者と自殺~いのちのリレー講座~」より

2017年05月18日

「若者と自殺~いのちのリレー講座~」の第2回目は、ゲストスピーカーに京都府の自殺対策推進担当課長、大辻様をお迎えし5月11日に実施しました。
若者と自殺1
大辻様をお迎えして

京都府では全国に先駆けてさまざまな自殺対策が進められ、自殺死亡率(10万人当たりの自殺者数)が平成24年には21.8と全国で最も少なく、平成28年も15.3と5番目の少なさでした。
それでもこの数字は京都府内で平成28年の1年間に399人、言い換えれば、1日に1人以上の方が自殺で亡くなられたことになり、とても悲しい事態だと思います。
そして、京都府内の10歳代の自殺者数は過去5年を平均すると11.4人で1か月に1人の若い命が失われていることになります。20歳代ですと52.6人と5倍に増えます。

そこで、若い命を守るために京都府ではいろいろな活動を支援しています。
講義の中からここでは2つの活動を紹介いたします。

1つは京都府自殺ストップセンターです。ここでの相談は、電話だけでなく若い人がアクセスしやすいようにLine無料通話機能も利用でき、そして、電話相談から面接・訪問へと結びつけている点が特徴的です。
若者と自殺2
京都府自殺ストップセンター概要

それから2つ目は大学生向け「こころの体温計」です。スマホなどでメンタルヘルスがチェックできるようになっています。
大学生仕様で、本学も登録されています。こころの状態によって、金魚鉢の金魚の様子や水の透明度が変化します。
一度お試しくださいね。
若者と自殺3
大学生向け「こころの体温計」

その他にも京都らしい取り組みがあり、次回以降もゲストスピーカーでお招きする予定です。
引き続き、ご紹介していきたいと思います。

報告:河瀬 雅紀
  


Posted by 京都ノートルダム女子大学心理学科 at 14:35講義の様子

#1  恋心の心理学― 対人魅力を科学する ―

2017年05月03日

春は出会いと別れの季節
新年度がスタートしてほぼ1か月。
この出会いと別れの季節に、恋に落ちた人、まだ恋とは言えないかもしれないけれど「何となく好き…」「ちょっと気になるかも?」という相手に出会った人もいるでしょう。あるいは、恋人関係が何らかの理由で壊れてしまった人もいるかもしれません。
4月23日の模擬授業「恋心の心理学 ―対人魅力を科学する-」では、私たちにとって身近な経験である“恋愛”をテーマに選び、会場の皆さんと一緒に学び、考えてみました。

“恋心”を心理学から考える 
心理学は人の心(心理現象)を研究する学問ですが、“恋愛”も人間の心理現象の一つです。恋愛に関連する事柄を思いつくまま挙げてみても“好き”“嫌い”“幸福”“嫉妬”“裏切り”“性格”“相性”“劣等感”等々、たくさんの語が浮かびますが、いずれも心理学の研究対象となるものです。
恋愛をはじめ、心理学の研究対象となる事柄は、日常的で多くの人が経験するので、私たちは何となく「分かったつもり」でいます。でも、実はあまり「よく分かっていない」「間違っている」「偏っている」かもしれません。

今回の模擬授業では、まず参加者の皆さんに“恋”の色や形について尋ねてみました。

恋の形?
 「恋」をお題に、参加者が思い思いに描いてみました

いろいろな回答が寄せられたのですが、そもそも“恋”には色や形はありませんよね?!
でも、私たちは“恋”について様々なイメージを持っていますので、問われれば、そのイメージを表現することもできます。そして、個々人が表現したものをデータとして分析すれば、例えば「恋のイメージの研究」等もできるかもしれません。

このように心理学では、目に見えない(実体がない)心理現象について、考え・データを収集し・収集したデータをもとに人間について研究して行きます。


恋愛の研究 ―恋愛と好意は違うのか?―
実体のない心理現象について、いろいろな研究の切り口(視点)が考えられますが、“恋愛”についても、これまで様々な研究がなされています。

20170423模擬授業1
 心理学のさまざまな恋愛の理論を紹介

模擬授業では3つの研究について紹介しましたが、ここではその中から一つを紹介します。
この文章の最初の部分で、「恋に落ちた」と「何となく好き…」の例を挙げました。皆さんは“恋”と“好き”は違うと思いますか?違うとすれば、どこがどのように違うのでしょうか?そして、両者の違いは実証されているのでしょうか?ルビン(Rubin, Z., 1970)(※1)という研究者は、恋愛(loving)と好意(liking)は異なると考えました(図1)。
図1(模擬授業)
 図1(模擬授業のスライドより)

そして、ルビンは自身の考えを検証するため、測定道具(複数の質問項目からなる尺度)を開発し、その尺度を使ってデータを集めて分析しました。結果、
①恋人が対象の場合には、恋愛と好意の得点の両方が高く、友人が対象の場合には好意の得点だけが高い(恋愛の得点は低い)こと、
②男女で違いがあり、男性は女性よりも両得点の関連が高い(女性は男性よりも両得点の関連が低い)こと、
が分かりました。

①の結果から、人は恋愛と好意を異なったものとして体験・認識している、
②の結果から、男性は女性に比べて恋人と友人とを厳密に区別していない、
と言えそうです。

ルビンの研究は1970年にアメリカの心理学雑誌に掲載されたものですが、現代の日本ではどうでしょうか。
また、この研究は「男女の間で友情は成立するか?」という問いにも発展しそうです。皆さんはどのように考え、どのような方法で確かめることができると思いますか?

情報の海で溺れないために
情報が溢れる現代、恋愛についても様々な情報を瞬時に、また大量に得ることができます。ためしに今、グーグルで“恋愛”と入力して検索すると、僅か0.49秒で2億2,500万件がヒットしました。
自らの問いや悩みを「早く」「楽に」解決しようとすると、どうしても物事を単純かつ固定的に捉えしまいがちです。そして、単純で固定的な考え方や見方(ステレオタイプ)は、往々にして否定的な感情と結びつきやすい(偏見となる)と言われています。“恋愛下手なのは…”“男性の愛は女性の愛よりも…”“同性愛は…”等々、いろいろな言葉が続きそうです。

溢れる情報の海で溺れないために、皆さんはまず「本当かな?」と疑ってみて、そして自分で「確かめて」みて下さい。心理学を学ぶことを通じて、情報の海に溺れないためのお手伝いができると思います。“恋愛”についても、もっと深く考え、確かめてみませんか?
“心の学問の場にようこそ!

 報告:向山 泰代 (2017/4/23 OC模擬授業より)

※1)Rubin, Z. 1970 Measurement of romantic love. Journal of Personality and Social Psychology, 16, 265-273.

  


Posted by 京都ノートルダム女子大学心理学科 at 04:34さいころ講座

心理学科のフレッシュマンセミナーを行いました

2017年05月02日

5月の連休に突入し、新年度開始からあっという間の1か月でした。新入生にとっては、慣れない中で瞬く間の1か月だったかもしれません。

4月18日(火)には、心理学科のフレッシュマンセミナーを開催しました。この日のために、春休みから学部生、大学院生の上級生リーダーチームが準備を進め、当日の運営でもしっかりリードして、充実したプログラムに仕上げてくれました。

午前中は、大学生活の流れや教員紹介、担任グループで競うアクティビティを行いました。1年間の学生生活の流れはスライドでわかりやすく説明され、イメージ作りに役立ったことと思います。教員クイズ「根ほり葉ほり」では、教員同士でも知らない「先生の意外な一面」を垣間見ることができました。「複数の先生を一度に覚えるのが大変!」という新入生にとっても、ずいぶんと先生を弁別する?!助けになったのではないでしょうか。

NDでの1年間を上級生が紹介
 NDでの1年間を上級生が紹介

その後、ホワイエの広い空間に移動して、さかさの傘に向かって投げ込む玉入れや、二人一組で箸やうちわを使って豆や風船をリレーするゲームで盛り上がりました。

風船運び
 案外難しい風船リレー、頑張れ!
 
昼食後の午後のブログラムでは、心理学科ならではの企画「コラージュ」をグループで作成しました。まだ出会って間もない新入生同士ですが、雑誌や新聞の切り貼り作業をしながら、自然と会話が生まれ、ほっこりとしたとてもよい時間になったのではないかと思います。完成した作品は、展示してみんなで鑑賞しましたが、グループごとにさまざまな特徴があり、とても興味深く、面白かったです。

コラージュ1
 各自でちょきちょき・・・

コラージュ2
 模造紙に協力して貼り付けて・・・

コラージュ3
 各グループ、個性的な作品が完成!

このように、上級生の準備の甲斐あって、1年生同士、1年生と上級生、上級生の先輩後輩と、いろいろなつながりが深まった時間になりました。学生のみなさんにとっては、これから始まる学生生活の不安も少し和らぐ機会になったかな、そうだとよいなと、教員一同願った1日でした。

 報告:薦田 未央  


Posted by 京都ノートルダム女子大学心理学科 at 07:54学生の様子学科のトピック
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