現代人間学部 心理学科

大学院(臨床心理学専攻)の同窓会2018

2018年06月27日

 5月27日、本学の食堂で、大学院臨床心理学専攻の同窓会が催され、修了生や現役生、教職員20数名が集いました。学部・大学院でご指導くださった非常勤の先生方もお越しくださり、一人前になって働く姿に目を細めておられました。
 この日の午後には、ひきこもり支援をされている修了生の四方美佳子さんが、河瀬先生や佐藤先生とともに公開講座に登壇され、それを聴きに久しぶりに大学に足を運んでくれた修了生も合流しました。
ケータリングのごちそうを囲んで、思い出話や今の苦労話に世代を超えて花が咲きました。

 病院、児童相談所、高齢者福祉施設など、さまざまな現場で働く修了生から近況をお話してくれました。
入学して2か月のM1さんたち、日々の課題にてんてこ舞いですが、ちょっとそれを脇に置いて、自分の未来イメージと元気をもらえたのでは、と思います。

2018同窓会
壁の「最後の晩餐」画も集っているように見えます・・・

すでに、本学から100名以上の臨床心理士が輩出され、さまざまな現場で活躍しています。そして、今年から公認心理師の養成も始まりました。
短い大学院生活ではありますが、ND(ノートルダム)で心理専門職の基礎を学んだことがお互いの共通項となって、社会に出てからも縦横のつながりとなるように・・・と願っています。

報告:伊藤 一美
  


Posted by 京都ノートルダム女子大学心理学科 at 14:18イベント

2018年度 心理学科 公開講座「不登校ひきこもりの背景とその後―つながるひろがる可能性―」を終えて

2018年06月26日

 去る2018年5月27日(日)、本学NDホールにて、心理学科公開講座が開かれました。この講座は、京都府、京都市、京都新聞、本学心理臨床センターから後援いただき、当日は、京都市、京都府および近隣の府県から、約180名の皆様がお越しになり、会場は満杯の賑わいになりました。

公開講座2018-1
満員の会場

 講師は、本学心理学科准教授の佐藤睦子先生、本学心理学科教授で大学院心理学研究科長の河瀬雅紀先生、そして、本学大学院心理学研究科を修了後、臨床心理士として、不登校ひきこもり支援団体等で活躍している四方美佳子先生でした。
また、今回は、「不登校とひきこもり、およびその支援」がメインテーマでしたので、あらかじめ、京都市、京都府下にある、不登校、ひきこもりの支援団体に、パンフレット・チラシ等による情報提供をお願いし、当日、多くの団体からの資料を会場入口に設置させていただき、参加者の皆様にご覧いただき、自由に持ち帰ってもらいました。

公開講座2018-2
会場入り口の様子

 講演はまず、「思春期・青年期のこころ―スクールカウンセラーの経験を通じて―」と題し、幼稚園から高校までのスクールカウンセラー歴が長い、佐藤准教授からでした。
佐藤先生は、不登校の児童生徒数とスクールカウンセラー配置数が、近年増加していることを示しながら、スクールカウンセラーが、学校現場でどのような役割を果たしているのか、また困難を抱えている児童生徒にとって、スクールカウンセラーとのかかわりがどういった意味を持つのか、ということを、先生ご自身が長年関わってこられた事例の紹介も含めて、わかりやすく説明されました。

 次に、「青年期のひきこもり―理解と支援のヒント―」と題し、精神科医でもある、河瀬心理学研究科長が、話されました。
河瀬先生は、「ひきこもり」とはどのような状態を言うのか、どのような生活なのかということを具体的に説明され、特に自立や自分探しを経験する「思春期・青年期」のひきこもりの意味について、解説されました。また、自閉スペクトラム症や対人恐怖を取り上げ、対人的な不安が生じる背景や、不安を感じる人々が、社会・他者とつながる際の恐怖について、言及されました。そして、ひきこもりの人たちが、社会参加するためには、「社会の中での居場所作り」が大切であること、また居場所の役割について、お話しされました。
その後、NPO法人で不登校の児童・生徒や引きこもりの人々の支援にあたっている臨床心理士、四方美佳子先生が、「不登校・ひきこもりの地域支援の実際」をお話しされました。
 四方先生は、ご自身が考える支援は、「その人らしさを取り戻すお手伝い」であるとして、実際に引きこもりだった青年が語った言葉を例に挙げ、青年が自分をのびのびと表現できるように、どのような地域支援を行っているのか、具体的にその活動を紹介されました。また当事者の方だけでなく、ご家族の支援を行っていることや医療、学校、就労支援など、さまざまな現場でのつながりを行っていることについても、語っていただきました。
また3人の先生の講演の後、本学心理臨床センター長で心理学科教授の向山泰代先生の司会のもと、3人の講演者によるパネルディスカッションがあり、「つながるひろがる可能性」について、意見交換が行われました。

公開講座2018-3
パネルディスカッションの様子

 講演終了後、支援団体の方から、提供いただいたチラシ等については、多くの方が持ち帰られ、用意したチラシ等がなくなる状態で、公開講座に参加された皆さんの、支援に関しての関心の高さが窺えました。そして、この公開講座が支援に関心のある方と支援の現場とのつながりの一助になったならば、大変うれしいことだと思いました。
最後に、今回の公開講座へのアンケートから、「各立場からのお話が、事例もあってわかりやすかった。参考になった」「社会の中での居場所作りの大切さがよくわかった」という、ありがたいご意見を多くいただきました。しかし、その一方で、「もっと詳しい、つっこんだ話を聞きたい」「パネルディスカッションが短かった」「こういった講演はもっとあってよいのではないか」といった、今後への期待を込めた、要望のメッセージも多くいただきました。
 心理学科としては、より有意義な公開講座を地域の皆様に提供していけるよう、努力しなければならないと感じています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

報告:高井直美

  


Posted by 京都ノートルダム女子大学心理学科 at 13:13イベント

#9 よき聴き手とは?―心理カウンセリング入門―

2018年06月25日

 人の話を上手く聴くことができると、いいことがある――聴くことの大切さを説く書籍が多く出版されています。良好な人間関係につながる、コミュニケーションが円滑になる・・・営業成績がのびる、なんていう話もあります。中身の違いはともかく、聴くことには一定の効用があると考えられているようです。もちろん、ひとの悩みに関わる心理カウンセリングでも、聴くことはとても大切です。しかし人の話を聴くということは、ある意味ではとても難しく、そして様々な感覚を総動員しながら行っている行為でもあるように思います。

「ありのままに聴く」
 心理療法家の杉原(2012)は、心理カウンセリングの実践にとって大切なことの一つとして、「ありのままを受け容れる」ということを挙げています。「ありのままに聴く」というと、一見どうということもないように思えるかもしれませんが、じつはなかなかに難しいことです。
例えば、傷ついた体験について聴く、ということを考えてみましょう。傷ついた体験についてじっくり話を聴いたことのある人は、高校生ではまだあまり多くないかもしれません。傷ついた体験について話を聴くと、じつは多かれ少なかれ聴き手も辛くなってきます。すると、辛いので、それを遠ざけたくなってくるのです。はじめは親身に聴くことができたとしても、だんだんと「いつまでそんなことを言っているのか」とか「そういったことは誰でも経験することだ」などと思えてきたりするかもしれません。つまり「ありのままに聴く」ということは、自分自身の中におこってくる辛さに持ちこたえながら、相手の話に耳を傾けるということでもあるのだと思います。

さいころ講座9-1

「先入観をもたずに聴く」
 自分の先入観でものごとを決めつけないこともまた、人の話を聴くうえで大切なことです。しかし、人は誰しもその人なりの見方(フィルター)を通してものごとをとらえ理解している、という面があることもまた確かです。
模擬授業では、このことと関連したワークを行いました。参加者の皆さんには、お話を聴いてもらい(大富豪ブルボン家の令嬢ソフィアほか、3人の人物が登場するお話です)、登場人物のうち、どの人物に好感を持ったか、順番をつけてもらいます。当然のことながら、つける順番も理由も人によって様々・・・そのことを皆さんと確認します。その後―――じつはそのお話には続きがあります。若い女性だと思っていたソフィアが実は、様々な人生経験を経た“いい年”の女性であることや、弱みにつけ込むかのような召使の言動の背景に切ない身分違いの恋があることが分かります。さて、改めて好感を抱く順に並べてみると―――。多くの場合、お話の続きを聞くと順番がつけにくくなるのは、自分の抱いている先入観を意識せざるを得なくなるとともに、登場人物それぞれが抱える様々な事情を知ると、単純には良し悪しを判断できなくなるからなのでしょう。先入観を完全に排することは不可能ですが、一見否定的に感じられる相手の言動にも様々な理由や背景がある、ということを頭において話を聴く姿勢は大切かもしれません。

さいころ講座9−2

「姿勢や調子を合わせながら聴く」
カフェなどで仲良しのカップルを観察していると、一方がグラスを口に運ぶともう一方もグラスを口に運ぶ・・・など、同じような動作が同じタイミングで起こってくる様子が見られるかもしれません。心理カウンセリングの場面でも、クライエントとカウンセラーの姿勢が互いに一致し、さらにカウンセリングが進行するにつれ、姿勢の一致がより長い時間生じるようになる、という研究報告があります(Charny,M.D., 1966など)。姿勢や動作が一致するということは、身体のレベルで相手と同じ状態を体感している、ともいえるかもしれません。相手がしょんぼりと肩を落としている時には、その姿勢を自分も少しばかりなぞってみる、相手に姿勢や調子を少し合わせながら話を聴くことは(逆に、相手と全く一緒になってしまうことは、相手との距離が取れなくなるという意味で、望ましくないように思いますが)、相手がいま・ここで体験していることを理解することにつながるように思います。

以上、心理カウンセリングの立場から、人の話を上手く聴く、ということについてお話をさせていただきました。考えるヒントになることがあれば幸いです。

Charny,M.D.(1966) Psychosomatic manifestations of rapport in psychotherapy. Psychosomatic Medicine, 28(4), 305-315.
杉原保史(2012)技芸としてのカウンセリング入門 創元社

報告:三好智子(2018/4/22 OC模擬授業より)

  


Posted by 京都ノートルダム女子大学心理学科 at 20:43イベントさいころ講座

2018年度「認知症サポーター養成講座」が行われました!

2018年06月07日

2018年5月23日(水)の5講時、昨年度に引き続き、「認知症サポーター養成講座」を実施しました。

「認知症サポーター養成講座」とは、超高齢化社会の中で認知症当事者と家族への応援者である認知症サポーターを養成して認知症になっても安心して暮らせる町づくりを目指すもので、全国的に「認知症キャラバン」として展開されています。
このキャラバンは、2015年に厚生労働省が中心となって「認知症施策推進総合戦略~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~」、通称「新オレンジプラン」が策定され、その中でも中心的なプロジェクトとして位置づけられており、サポーターの数は1000万人を超えています(特定非営利活動法人地域ケア政策ネットワークHPより:2018年3月時点)。

本学のある下鴨圏域では、左京北地域包括支援センターが中心となり各所で講座を開いています。その一環で昨年度に引き続き、本学現代人間学部と共催で、本学学生や近隣の方々向けに実施することとなりました。
心理学科からも高齢者心理学を受講している学生を中心に、多数参加しました。

今回のテーマは「認知症にやさしいまちづくり」。
当日の参加者は、本学学生60名(心理・福祉・教育・人間文化)、地域の方々が4名、本学教職員1名の65名。昨年度の2倍以上の参加者数となり、関心の高さがうかがえました。

講座はまず、山本地域包括支援センター長から認知症についての全般的なお話、そののち看護師の小野寺さんから医学的な解説をいただきました。
認知症サポ2018-1
山本センター長から近隣の小学校での取り組みも紹介されました

今回は「認知症の人と家族の会」で理事を務める鷲巣典代さんがお越しくださりました。
「認知症当事者の気持ちを考える-思いを理解してかかわる-」として、当事者やご家族への調査データ結果に加えて、電話相談での体験や認知症になったおばあちゃんのことを綴った小学生の作文を紹介しながら、ご本人や家族の率直な思いについて教えていただきました。
認知症サポ2018-2
鷲巣さんからの講演

そのあとに、ビデオを視聴。左京区は「認知症にやさしいまちづくり」において先駆的なとりくみをしています。商店や交通機関が福祉施設と一体となって町ぐるみで高齢者を守る様子が紹介されました。

最後に、4~6名のグループでの振り返りです。
今回は、地域の方々も学生のグループに加わってくださり、鷲巣氏やスタッフのファシリテートもあって、地域の方と学生とが互いの経験を聴きあう姿も見られました。

認知症サポ2018-23
学生にとっては、地域の方々との交流に加え、鷲巣さんのように市民としてボランティアで活動される姿や、さまざまな対人援助職の先輩モデルに触れる機会となりました。
グループ発表でも「当事者の思い、自尊心を大切に、ということが知れてよかった」「“徘徊”といってもお年寄りなりの目的があるということを初めて知った」など、当事者の目線をもつことの大切さを学ぶ機会となりました。

現代人間学部のコンセプトは「人と暮らしを支える」。
職業としてだけでなく、地域市民としての意識も触発されたと思います。
鷲巣さん、地域包括支援センターのみなさん、ありがとうございました。
来年度も同じ時期に開催を予定しています。

報告:心理学科 伊藤 一美
  


Posted by 京都ノートルダム女子大学心理学科 at 14:41講義の様子イベント

2018年度 「社会・ビジネス心理フィールド研修」がスタートしました!

2018年06月06日

5月11日より「社会・ビジネス心理フィールド研修」が開講しました(昨年度までは「心理・教育フィールド研修b」という名称でした)。本研修も5年目となりましたが、本年度も京都北山マールブランシュ(株式会社ロマンライフ)様のご協力を頂きながら進めることになりました。

今年度の受講生は3年生2名、2年生10名で、2年生は全員「社会・ビジネス心理コース」の学生です。将来、マーケティングや商品企画・開発を行う仕事に就きたいという希望を持っている学生やこれまでの先輩達からの授業の様子を聞いて受講してみたいと思った学生が集まりました。

社会ビジネス心理フィールド開始1
マーケティング部ご担当者より京都北山マールブランシュの説明や商品・サービスについてご紹介頂きました

5月24日には、株式会社ロマンライフのマーケティング部より、秋田博一様と樺山瞳様に授業にお越し頂きました。樺山様からは、京都北山マールブランシュが日頃大切に考えておられること、販売商品やサービスについて紹介して頂いたほか、秋田様からは、マーケティングの考え方について講義をして頂き、さらに本年度、受講生が解決すべき課題を発表して頂きました。本年度のテーマは「京都在住の20代女性をターゲットカスタマーとした、マールブランシュ北山本店で販売するバレンタインデー商品」の提案です!

社会ビジネス心理ふぃールド開始2
マーケティング部長様より今年度解決すべき課題を発表して頂きました!

2年前に、マールブランシュ様の系列店である「加加阿365祇園店」において販売するバレンタイン商品」を提案させて頂きましたが、今回は京都北山店でのバレンタイン商品を考えます。10月の最終報告会ではどのような商品が提案されるのか、そしてこれから約半年間、受講生がどのように成長してくれるかとても楽しみです。

最後に受講生2名に授業への抱負を尋ねました。
① 株式会社ロマンライフの皆様にお話を伺い、この授業は、実践的にマーケティングを学べるだけでなく、グループで協力して一つの課題に取り組むことによって、様々な価値観や考え方に触れ、広い視野を獲得できる機会であると思いました。最後により良い提案ができるように、みんなと一緒に頑張っていきたいです(2年生社会・ビジネス心理コースM・Tさん)。
② マールブランシュさんのような、京都の人間ならば誰もが知っているだろう有名な企業さんと授業を通して関われることに、大きな緊張と、それ以上の楽しみに満ちています。マーケティングについてなど、まだまだわからないことが多いですが、この授業の中で多くのことを学んでいければと思っています(2年生社会・ビジネス心理コースT・Nさん)。

社会ビジネス心理フィールド開始3
今後調査を進めるにあたり、積極的に質問をして情報収集を行いました


報告:「社会・ビジネス心理フィールド研修」授業担当 廣瀬直哉・尾崎仁美・松島るみ
  


Posted by 京都ノートルダム女子大学心理学科 at 12:29講義の様子学生の様子
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