現代人間学部 心理学科

「現代社会調査演習」成果発表

2017年02月17日

  「現代社会調査演習Ⅰ・Ⅱ」という授業では、現代心理専攻の3年生が、4つのグループに分かれ、1年間の授業を通して調査の企画、実施データの入力と分析、報告書の作成という社会調査の一連の過程を学ぶ活動を行ってきました。授業の最後には、各グループの研究内容を発表し合う成果発表会を行いました。
グループごとに、①調査の結果分かったこと、②1年間の授業を通しての感想、についてまとめてもらったものを以下にご紹介します。

グループ1:SNSの使用頻度と人間関係の関連性
 今回の調査では、SNSの使用頻度と友人関係の関連性を検討することを目的としました。分析の結果、SNSの使用頻度が高く、使用時間が長い人ほど、誰にも話せない自分の秘密を持っており、ネガティブなことを人に言わない傾向にあることが分かりました。現実の友人関係では本音を言わず、浅い人間関係を築いていく現代の若者の特徴が結果に表れていると言えます。また、女性のほうが男性よりもSNSを通じて友人と関わりたいという感情が強く、女性のほうが集団行動を好む傾向にあるということが分かりました。

「現代社会調査演習」成果発表

 1年間、調査に取り組んでみて、まずグループで協力して1つのテーマについて考え、行動する力が身についたと感じ、自分の意見を主張する力も身についたと思いました。また、実際に調査をして、データを取る難しさも感じましたが、分析をして、結果がでたときには、達成感をとても感じ、グループ活動の大切さを学ぶこともできました。また、性差を測るときは、男性データをもう少し集められるように色々工夫したり考えたほうがいいと感じることができました。今回の経験を活かして、卒業論文なども頑張っていこうという意気込みを持つことができました。

グループ2:夢は感情に左右されるのか?】
 私たちが日頃見る夢は、日常生活から影響を受けているのか、夢と日常生活に関係があるのか疑問に思ったので、「夢は感情に左右されるのか」というテーマで研究を行いました。調査の結果、ポジティブなことを経験した人は楽しい夢を見て、ネガティブなことを経験した人は楽しくない夢を見るという仮説は検証されました。また、夢をよく見る人と見ない人とで、ネガティブな出来事を経験する頻度に違いがあると考えていましたが、夢見頻度は日常の出来事とは関係していませんでした。夢は、その人の感情だけでなく、環境や睡眠時間も関係しているのではないか、と感じました。

「現代社会調査演習」成果発表

 ふと疑問に思ったことをテーマとして取り上げ、1年間かけて研究することができて面白かったです。このような素朴な疑問をテーマにしたからこそ、分析するのは難しかったけれど、最後まで仲間と協力し、まとめることができました。この経験によって、卒業論文だけでなく、社会に出てからも役に立つスキルを身につけることができたと思いました。

グループ3:共感しやすい人はどんな人か?】
 私たちは、普段の人間関係のなかで、小さい頃よりも現在のほうが周囲の人の意見ややり方に合わせて人間関係を築いているように感じました。そこで、共感性が高い人はどんな人か?という疑問について、「様々な経験をしている人は共感性が高いだろう」「人との関わりが豊富な人は共感性が高いだろう」という仮説を立て質問紙調査を行いましました。結果、嬉しいことや楽しい経験をたくさんしている人も、辛いことや苦労した経験が多かった人も、たくさんの経験をしている人は共感性が高いということがわかりました。さらに、普段から多くの人と交流している人もしていない人に比べて共感性が高いということがわかりました。

「現代社会調査演習」成果発表

 初めて自分たちでアンケート調査を実施し、さまざまな方法で分析したことで、卒論の練習にもなる実践的な経験ができたことがとてもよかったと思います。また、分析によって算出された数値から、どうしてこのような結果になったか考察しましたが、この考察することがやはり一番難しかったです。この授業では、頭の中で考えていることを言葉にして伝えるということがとても難しく、計算や分析する力や読解力だけでなく、言葉にするという国語力も必要だということに気がつきました。難しいこと、大変なことも多かったですが、先生や院生のTAさんにたくさんサポートしていただき、グループ全員協力しながら調査を進めていくことができました。終わってみた今振り返ると、とても楽しく参加できた授業でした。

グループ4:女子大生の恋愛について
 みなさんが実際に好きになる人は理想のタイプと同じですか? 今回の調査では、「理想の人と実際に好きになる人は違うのか」、「どういう言葉でときめくのか、また付き合いたいと思うのか」というのを明らかにすることを目的とし約1年間調査しました。
<結果1.>
 「自分と理想の人」「自分と実際に好きになる人」の性格特性の関連を検討した結果、理想の人は自分と同じように社会的な活動ができて、他の人とうまくやっていける人を好むのに対し、実際の人は自分と同じような不安傾向を持つ人や、他の人とうまくやっていける人を好むことが分かりました。
<結果2.>
 ①相手が「理想の人」か「実際に好きになる人」、②相手に対する恋愛感情の有無、③台詞(「俺じゃだめかな」「彼女になってください」「今俺が好きって言ったら、困る?」)によって、ときめく程度と付き合うかどうかを比較すると、どの台詞も、恋愛感情がある人から言われる方がきゅんとすること、実際に好きになる人に対して恋愛感情がある場合でも台詞によっては断られることもあること、告白では、「彼女になってください」というストレートな台詞のほうが好感度は高いことが分かりました。

「現代社会調査演習」成果発表

 どんな調査をするのかを決めるところから始まり、質問紙作成、配布、分析、発表と様々なことに挑戦させてもらえる授業でした。時にはグループ内で意見が合わず、妥協したところ譲ってもらったところなどありましたが、グループだからこそ気づけた点、助け合えたこともありました。たくさんの人や先生方に協力していただいた調査だからこそ、卒論での大変さ、協力者のいる素晴らしさを味わえました。一緒にできたのがこのメンバーでほんとによかったです。1年間ほんとにありがとね!

 どのグループも、常にメンバーで協力し合い、丁寧に作業が進められていたと思います。1年間の活動の中で、研究の難しさや奥深さ、グループで作業をすることの楽しさや大変さ、さまざまな気づきがあったと思いますが、今回学んだことが皆さんの今後に活かされれば、とても嬉しく思います。1年間、お疲れ様でした。

「現代社会調査演習」成果発表
Tさんがインフルエンザのために出席できなかったのが残念!

 最後になりましたが、本授業での調査実施に際しまして、心理学部の多くの先生方に大変お世話になりました。貴重な授業時間を割いて調査にご協力くださった先生方と学生の皆様に、心より感謝申し上げます。

報告: 現代社会調査演習受講生+尾崎仁美



Posted by 京都ノートルダム女子大学心理学科 at 07:00│講義の様子学生の様子

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