現代人間学部 心理学科

#2  勉強に役立つ暗記術とは?-記憶の心理- 

2017年06月16日

上手に勉強出来ていますか?
皆さんは日頃、どの様に勉強をされていますか?自分の勉強方法に自信を持っている人もいれば、「勉強したはずなのに思い出せない・・」、「覚えてもテストが終わったらすぐに忘れてしまう・・」など、勉強に対する悩みを持っている人もいるかもしれません。
 6月11日の模擬授業「勉強に役立つ暗記術とは? ―記憶の心理-」では、いくつかの記憶に関する実験を通して、より効果的な勉強方法について考えました。

あなたの「勉強」に対する考え方は? 
教育心理学の分野では、「勉強に対してどの様な考え方をしているか」を「学習観」と呼んでいます。
模擬授業ではまず最初に、16項目の学習観尺度(植阪他、2006)に回答して頂き、皆さんの勉強方法や勉強に対する考え方を振り返って頂きました。

「勉強のやり方自体が大事」とか「理解して覚えることが重要」と考えている人もいる一方で、「勉強といえば丸暗記」、「正解すれば良い」と考えている人もいるようでした。
これまでの研究によると、ただ勉強量が多い、機械的に暗記するということでは成果に結びつきにくく、勉強のプロセスを重視し、意味を理解しながら覚える学習方法が良い成果に結びつきやすいということが明らかになっています。

模擬授業1
 学習観尺度に回答したのちに、解説

人間の記憶力には限界が・・だからこそ効果的な「記銘方略」を使おう
「勉強の仕方が大事」ということはわかりましたが、それでは、具体的にどの様に勉強を進めていけば良いのでしょうか?
記憶に関する実験を通して考えてみましょう。

最も基本的な記憶の分類として、①非常に短時間しか情報を保持出来ない「短期記憶」と②短期記憶よりはるかに長く貯蔵出来る「長期記憶」があります。
テストの時に「うまく思い出せない」「覚えたはずなのにすぐに忘れてしまう・・」と感じる一つの理由として、②の「長期記憶」にうまく学習内容を定着させることが出来ていないということが考えられます。

重要な情報を長く記憶にとどめるために行う活動について、心理学では「記銘方略」と読んでいます。模擬授業では、2つの言葉を対にした単語リストを複数個提示し、「機械的に覚える場合」と「2つの単語が何らかの形で結びついたイメージを思い浮かべる場合」でどちらが単語の再生数が多かったかを比較する実験を行いました。
全体としては、後者の方法で単語が多く思い出せた人が多かったようです。ただ丸暗記しようとするよりも、記憶すべき対象をまとめて覚える、具体的にイメージする、関連づける、といった自分なりのちょっとした一工夫が、記憶の保持には効果的なのです。

模擬授業2
記憶方略をつかうと、記憶力が向上する!

模擬授業の最後に「まとめ」として以下のポイントをお伝えしました。早速、今日からの学習に活かしてみてください。

〇勉強は量より質!
〇機械的な「丸暗記」からは卒業しよう!
〇覚えるべき事柄について、具体的に想像したり、出来るだけ内容を関連づけて覚える等、自分なりに工夫することで、記憶の定着は良くなる!


 報告:松島 るみ (2017/6/11 OC模擬授業より)



参考)植阪友理・瀬尾美紀子・市川伸一 2006 認知主義的・非認知主義的学習観尺度の作成 日本心理学会第70回大会発表論文集、89.




Posted by 京都ノートルダム女子大学心理学科 at 06:00│さいころ講座

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