#4 子どものやる気と自信を育てるには? ― 親と子の発達心理 ―
2017年08月18日
あなたのやる気の源は?
しなくてはいけない課題があるのに、なかなかやる気が出てこない。誰しも経験があるのではないでしょうか。最後には、いろいろな工夫をして「やる気」を起こして取りかかるという顛末になることも。例えば、「これが終わったら、アイスクリームを食べよう」と自分へのご褒美を考える、「次のテストでは必ず成績を上げるぞ!」と良い成果やほめてくれる親の顔をイメージするなどがあります。
一方で、常にやる気が満ちて、主体的にどんどんと進められるということもありますね。例えば、「この曲を弾きこなしたい!」と、弾けたときの達成感をイメージしてピアノの練習に励む、「すればするほど、はまってしまう」と面白さを感じて、難しいパズルに挑戦するといったことがありますね。
このようなことは、大人も子どもも同じように経験することでしょう。今回、模擬授業に参加された皆さんには、「やる気はある、できそうだと思う」から「やる気はない、できそうにない」ということまで、「やる気」と「できる」という組み合わせで、4種類の行動をイメージして書き出していただきました。
「やる気」と「できる」の組み合わせによる4種類の行動
(模擬授業のスライドより)
「やる気」を支えるもの
皆さんが書かれたものの中には、「勉強」というワードもちらほら見られましたが、人によって「やる気」や「できそうだ」という捉え方は異なりました。それは、人によって「勉強」に対する認識が異なるからだと考えられます。
「やる気」(=心理学では「動機づけ」という言葉で説明されます)は様々な要因との関係が研究されています。
1つには「取り組もうとする行為の意味や価値」によって、物事への取り組む動機は異なります。「将来のためになる(利用価値)」「結果はともかく、やり遂げることに意味がある(獲得価値)」「やることそのものに面白さがある(内発価値)」「努力のわりには、見返りが少ない(コスト)」などが挙げられます。
2つ目には、そのことが「自分にはできる、できそうだ」という期待感が持てるかどうかということです。例えば、先に挙げた「意味や価値」が自分にとってどんなに高くても、「できそうだ」という感覚が持てないと、とりくむ気持ちも高まりませんね。この組み合わせが、「やる気」を左右する要因であるという考え方があります。
取り組もうとしていることへの「価値」と「期待」
(模擬授業のスライドより)
さらに、「やる気」を持続させるためには、主体的に「やろう!」と思えることも大事なことです。ご褒美のような目に見える結果だけではなく、「面白い!」「なんだろう?!」という興味や関心を育てることがポイントとなるでしょう。
「やる気」のタネはいつから芽生える?
「何?面白そう!」といった興味関心や「できるかもしれない」という感覚は、「やる気」の重要なポイントであることがわかったと思いますが、そのタネは幼い子どものころから育ち始めます。そして、それは親や周囲の大人のかかわり方が影響すると考えられています。
各自取り組んだワークからやる気のタネを見つける
乳幼児期は、外界のことを知り、考えて、育ちはじめの時期です。自分では何もできない時期にも、「泣く」ことでお母さんが、抱いたり、おむつを替えてくれたり、お乳をのませてくれることにより、安定した心地よい感覚を持つことができます。これが「できた」「できるかもしれない」という気持ちの芽生えになります。
また、親はいつも見守ってくれるという安心感のような心の絆を支えに、使ったことのないおもちゃで遊んでみたり、初めてのお友達と遊んだり、難しそうな活動にチャレンジする力も身につけていきます。
最初は、子どもがうまくできるように、興味関心が持続するように、大人が環境を整えたり、手助けをしたりすることが大事です。そして、徐々に直接助けることを減らしながら見守り、子どもが「一人でできた」という経験をすること、それに「できたね」と肯定される、褒められる経験をさせることも重要です。子どもたちは失敗も喜びも感じながら「できるかもしれない」「もっとがんばる」という気持ちを育んでいきます。
そうなると、チャレンジする面白さ、取り組んでいる活動の意味や価値を自分で見出していくことにつながります。
もしも、やる気や自信が持てないときは?!
今、皆さんが「頑張ってみようかな?」と思える力は、小さい頃から親や周囲の大人、先生などに支えられながら育んできた力です。
もし、失敗したり、できる自信がない時、どうしたらよいか、コツを最後にお伝えしますと・・・・。
できなかったこと、失敗したことは、「自分の能力のせいだ」と思わないことです。「どのくらいやることに意味づけ」していたか、「興味」、「自信」が少なかったか、など振り返って、「もうちょっと頑張ってみてもよかったかも」、「こんな価値があるかも」というように見方を変えることや、「どうやったらうまくいくか」というスキルを先輩や先生に伝授してもらう、といった方向に心のエネルギーを向けてみるとよいかもしれませんね。
【参考になる書籍】 伊藤崇達(編著) 2010 やる気を育む心理学 改訂版 北樹出版
報告:薦田 未央 (2017/8/5 OC模擬授業より)
しなくてはいけない課題があるのに、なかなかやる気が出てこない。誰しも経験があるのではないでしょうか。最後には、いろいろな工夫をして「やる気」を起こして取りかかるという顛末になることも。例えば、「これが終わったら、アイスクリームを食べよう」と自分へのご褒美を考える、「次のテストでは必ず成績を上げるぞ!」と良い成果やほめてくれる親の顔をイメージするなどがあります。
一方で、常にやる気が満ちて、主体的にどんどんと進められるということもありますね。例えば、「この曲を弾きこなしたい!」と、弾けたときの達成感をイメージしてピアノの練習に励む、「すればするほど、はまってしまう」と面白さを感じて、難しいパズルに挑戦するといったことがありますね。
このようなことは、大人も子どもも同じように経験することでしょう。今回、模擬授業に参加された皆さんには、「やる気はある、できそうだと思う」から「やる気はない、できそうにない」ということまで、「やる気」と「できる」という組み合わせで、4種類の行動をイメージして書き出していただきました。
「やる気」と「できる」の組み合わせによる4種類の行動
(模擬授業のスライドより)
「やる気」を支えるもの
皆さんが書かれたものの中には、「勉強」というワードもちらほら見られましたが、人によって「やる気」や「できそうだ」という捉え方は異なりました。それは、人によって「勉強」に対する認識が異なるからだと考えられます。
「やる気」(=心理学では「動機づけ」という言葉で説明されます)は様々な要因との関係が研究されています。
1つには「取り組もうとする行為の意味や価値」によって、物事への取り組む動機は異なります。「将来のためになる(利用価値)」「結果はともかく、やり遂げることに意味がある(獲得価値)」「やることそのものに面白さがある(内発価値)」「努力のわりには、見返りが少ない(コスト)」などが挙げられます。
2つ目には、そのことが「自分にはできる、できそうだ」という期待感が持てるかどうかということです。例えば、先に挙げた「意味や価値」が自分にとってどんなに高くても、「できそうだ」という感覚が持てないと、とりくむ気持ちも高まりませんね。この組み合わせが、「やる気」を左右する要因であるという考え方があります。
取り組もうとしていることへの「価値」と「期待」
(模擬授業のスライドより)
さらに、「やる気」を持続させるためには、主体的に「やろう!」と思えることも大事なことです。ご褒美のような目に見える結果だけではなく、「面白い!」「なんだろう?!」という興味や関心を育てることがポイントとなるでしょう。
「やる気」のタネはいつから芽生える?
「何?面白そう!」といった興味関心や「できるかもしれない」という感覚は、「やる気」の重要なポイントであることがわかったと思いますが、そのタネは幼い子どものころから育ち始めます。そして、それは親や周囲の大人のかかわり方が影響すると考えられています。
各自取り組んだワークからやる気のタネを見つける
乳幼児期は、外界のことを知り、考えて、育ちはじめの時期です。自分では何もできない時期にも、「泣く」ことでお母さんが、抱いたり、おむつを替えてくれたり、お乳をのませてくれることにより、安定した心地よい感覚を持つことができます。これが「できた」「できるかもしれない」という気持ちの芽生えになります。
また、親はいつも見守ってくれるという安心感のような心の絆を支えに、使ったことのないおもちゃで遊んでみたり、初めてのお友達と遊んだり、難しそうな活動にチャレンジする力も身につけていきます。
最初は、子どもがうまくできるように、興味関心が持続するように、大人が環境を整えたり、手助けをしたりすることが大事です。そして、徐々に直接助けることを減らしながら見守り、子どもが「一人でできた」という経験をすること、それに「できたね」と肯定される、褒められる経験をさせることも重要です。子どもたちは失敗も喜びも感じながら「できるかもしれない」「もっとがんばる」という気持ちを育んでいきます。
そうなると、チャレンジする面白さ、取り組んでいる活動の意味や価値を自分で見出していくことにつながります。
もしも、やる気や自信が持てないときは?!
今、皆さんが「頑張ってみようかな?」と思える力は、小さい頃から親や周囲の大人、先生などに支えられながら育んできた力です。
もし、失敗したり、できる自信がない時、どうしたらよいか、コツを最後にお伝えしますと・・・・。
できなかったこと、失敗したことは、「自分の能力のせいだ」と思わないことです。「どのくらいやることに意味づけ」していたか、「興味」、「自信」が少なかったか、など振り返って、「もうちょっと頑張ってみてもよかったかも」、「こんな価値があるかも」というように見方を変えることや、「どうやったらうまくいくか」というスキルを先輩や先生に伝授してもらう、といった方向に心のエネルギーを向けてみるとよいかもしれませんね。
【参考になる書籍】 伊藤崇達(編著) 2010 やる気を育む心理学 改訂版 北樹出版
報告:薦田 未央 (2017/8/5 OC模擬授業より)
Posted by 京都ノートルダム女子大学心理学科 at 17:33│さいころ講座