廣瀬ゼミ 3年次ゼミ研究 「感情が色の選択に与える影響」
今年度の廣瀬ゼミでは、色と感情の関係について興味を持ち実験をしました。これまでの研究を調べてみると、色がどのような感情を引き起こすか(色→感情)という研究はたくさんありました。一方、ある感情状態のときに、どのような色が選択されやすいか(感情→色)という逆方向の研究は見つかりませんでした。そこで、今回の研究では、文章を読んでもらって感情を誘導し、その感情のときに絵を描くなら、どの色を使うかを選んでもらい、感情が色の選択に与える影響を調べることにしました。
実験では、嫉妬・喜び・悲しみ・怒りの4種類の感情を誘導する文章を作成して、実験協力者(73名の女子大学生)に、それぞれ読んでもらいました。それぞれの文章により、特定の感情が実際に喚起されているかどうかは10項目の気分評定により確かめました。そして文章を読んで感情を誘導された後、絵を描くとするとどの色を使うかを8色(赤・青・黄・緑・紫・橙・黒・白)の中から2色選択してもらいました。
実験の結果、以下のことがわかりました。
・「嫉妬」の文を読むと、
「妬ましい」「不快だ」などのネガティブな気分が強くなり、紫や赤が選択されやすくなる。
・「喜び」の文を読むと、
「幸福である」「嬉しい」などのポジティブな気分が強くなり、黄や橙が選択されやすくなる。
・「悲しみ」の文を読むと、
「気持ちが沈む」「不安だ」などのネガティブな気分が強くなり、青が選択されやすくなる。
・「怒り」の文を読むと、
「イライラしている」「不快だ」などのネガティブな気分が強くなり、黒や赤が選択されやすくなる。
下の図は、それぞれの感情喚起文を読んだ後の色選択の多い・少ないを残差分析という方法を使って相対的に表したものです。
感情ごとに選ばれた色(感情→色)は、色が引き起こす感情(色→感情)についてのこれまでの研究から言われてきた色と感情のペアとおおよそ対応しています。つまり、色が特定の感情を引き起こすという方向だけではなく、その逆方向も成立していることが今回の研究から明らかになり、色と感情が密接に結びついていることがわかりました。
報告者:廣瀬直哉 & ゼミ学生(あやぽん、こばってぃ、ナガタ、ひの、もも)
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