現代人間学部 心理学科

2019年度「認知症サポーター養成講座」を開催しました

2019年07月04日

2019年6月12日(水)の5講時、昨年度に引き続き、本学において「認知症サポーター養成講座」を実施しました。
「認知症サポーター養成講座」とは、認知症当事者と家族への応援者である認知症サポーターを養成し、認知症になっても安心して暮らせる町づくりを目指しています。「認知症キャラバン」として全国展開されており、サポーターの数は現在1140万人を超えました(特定非営利活動法人地域ケア政策ネットワークHPより:2019年3月時点)。
本学での開催は、現代人間学部と下鴨圏域を管轄する左京北地域包括支援センターとの共催で、この養成講座を2017年度から今回で3回目の実施です。
当日は、民生委員はじめ地域の方々や福祉施設の職員の方など6名、本学学生22名、本学聴講生3名の計31名が参加しました。心理学科からは、高齢者心理学や共通教育科目の受講生を中心に16名が参加しました。

プログラムは「認知症にやさしいまちづくり」と題し、センター長の本嶋さんの挨拶ののち、看護師の小野寺さんからの認知症の基本的な知識のレクチャー、そして認知症の人と家族の会 京都府支部世話人の鷲巣 典代さんから、認知症について世界規模での現状や取り組み、また若者の活動として他大学でのさまざまな実践例の紹介をいただきました。本学学生への期待とエールが送られた形となり、とても刺激的でした。

そして、今回は鷲巣さんのご縁で、杉野文篤さん・由美子さんが登壇くださいました!

2019年度「認知症サポーター養成講座」を開催しました
久しぶりの登壇で緊張気味とのことでした

文篤さんは、長年高校教師や大学職員を務めてこられ、59歳で若年性アルツハイマー病を抱えてからは、当事者として、妻の由美子さんとともにさまざまな場で発信し続けてこられました。
2017年に京都で開催された国際アルツハイマー病協会国際会議では実行委員を務められ、現在、お住まいの伏見区に認知症の方やご家族の一拠点となれるようにと卓球サークル『いちじくの会』を立ち上げておられます。

2019年度「認知症サポーター養成講座」を開催しました
由美子さんのリードを得ながらのリズミカルな掛け合い

お話は、文篤さん、由美子さん、鷲津さんの掛け合いで展開しました。学生からの質問があれば・・・ということで事前にお伝えしていたところ、何度もご夫婦でどのように答えるか、練り直し準備もしてきてくださったとのことです。
認知症の発症と仕事と折り合いをつけた頃のこと、日ごろの苦労話だけでなく、大好きなシャーロックホームズのこと、指導にもあたっておられたトランペットのことなどなど…諦めたこともあれば、今も取り組んでおられることもあることを教えていただきました。
〈今の生きがいは?〉という質問には「初めのことは(お世話になっていた病院の)テニスサークル、今はできる限り地元に住んで卓球サークルを続けたい」と思いを伝えてくださいました。
また、〈夫婦円満の秘訣は?〉という問いに「円満じゃないから、答えられない」という答えに笑いが起こった後、由美子さんから「この病になって、本当にたくさんのことを夫婦の間で話すようになった」と関係の変化について語ってくださいました。
学生の〈親が認知症になったときに子どもの立場でできることは?〉という問いには、由美子さんから「“恥ずかしい”と思って隠したりしないでほしい。認知症になってから、できること、わかること、感じていることがたくさんある。身近な家族の始めの時期の受け止め方で、それ以降の人生が大きく変わる」とお返しくださったのがとても印象的でした。

お話の後、5~6人のグループに分かれて『地域で自分たちは何ができるだろうか』というテーマで話し合いを行いました。
地域の方々や職員の方がグループに分かれて入ってくださり、年代・立場を超えて、個々の事情も大切に扱いながら対話する様子があちこちで見られました。
グループ発表では「当事者の声を聴くことの重要さが身に染みてわかった」「周りの身近な人へ、小さなことから」「正しい知識を身につけるためにも、実際に触れあう経験を増やしたい」といった声がありました。

2019年度「認知症サポーター養成講座」を開催しました
グループでの話はとても活発でした

最後に、センターの大西さんより、現在取り組んでいる認知症カフェ『オレンジカフェ』の取り組みが紹介され、ご近所でもある本学からもぜひボランティア支援を、との呼びかけがありました。

現代人間学部は「人と暮らしを支える」というコンセプトを掲げています。
鷲巣さんの講演の中で、“瞬間ボランティア”という言葉が紹介されましたが、まずは目の前の状況を見て、理解して、できることを提案してみる、そのことの連続、ということだろうと思います。
「目の前のことから」の輪がどんどん広がることを願いつつ。

杉野文篤さん、由美子さん、鷲巣さん、地域の民生委員さん、地域包括支援センターのみなさん、
豊かな時間をいただき、本当にありがとうございました。

来年度も同じ時期に開催を予定しています。

   報告:伊藤 一美



Posted by 京都ノートルダム女子大学心理学科 at 06:42│イベント学生の様子

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